2011年04月26日

「実さえ花さえ、その葉さえ、今生を限りと生きてこそ美しい」

いい本に出会えました。

『実さえ花さえ』【朝井まかて】(写真1枚目)

記事のタイトルは、その表題にして、物語の象徴的な台詞。
何とも凛として美しい。


内容は、江戸後期の種苗屋(花屋)を営む若夫婦を中心として、様々な事件が巡り巡るお話。

事件とは言っても、それは決して突拍子もないものではなく、
その時代の日常や風俗、そして花に関連した、やや穏やかめなもの。

それでいて、無性に先が気になり、緩やかにも緊張感が増す内容に展開。
描かれる人の心や風景の機微が、それを更に彩る。

そうして、読み終えた後には、言い知れぬ満足感と温かい感情が胸に溢れる。
そこに花が咲く如く。

主人公夫婦のみならず、登場人物がまたいずれも魅力的で、
ゆえに共感もでき、ますます物語に入り込める。
それらの感情の描写も、流麗にして自然。

要所要所に挟まれる、時代にそくした小道具もまた、憧憬の思いを駆り立てて止まない。

薄荷の入った冷たい麦湯、栴檀を入れた手湯、
吉原遊女の白群青の縮緬に青海波を縫い取った打掛に、その花魁言葉、
紫の実が溢れる木に、双極の紅葉…、
そして何より印象的だったのは、
木箱に満たした寒天に植えられる緋色の桜草。

文字だけのものゆえに、逆に、とてつもなくそれらの色が映えると言うもの。

そしてそれらの色は心の中をも点々と染める。
そこに花が散る如く。


そうして散った花は、やがて感性の種となり、再び何かしらの花が咲く、
そんな気持ちにさせてくれ、そんな力を与えてくれそうなこの本、
図書館からの借り物なことだけが本当に惜しい…!

是非手元に置き、己が花と実と、種としたいと思った次第なので、改めて購入するつもり。

その文章のリズム自体も、私の感性と合っていたので、
この著者の他の作品があるならば、それもまた読んでみたいな。




そんな花爛漫な気分繋がりで、
花ばかりではないにせよ、先週に撮った写真も載せてみる。


・西宮市大谷記念美術館にて(写真2、3枚目)

・夙川沿いの木々と枝垂れ桜(写真4、5枚目)



ああ、自然とはかくも美しいものなのか。
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posted by まゆみ at 08:58| Comment(2) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
和の色彩が美しさを放つ文章…
イイねぇ〜こういうの好きじゃわぁ。

ウチも、道端の花や自然の小さな美しさにも目をとめられる大人になってきたかなぁ(^_^;)

Posted by サリー at 2011年04月27日 16:53
・サリーさん

繊細にして一筋の鮮烈な色彩が、余すことなく描かれていた作品だと思いましたよ。

私の目標は、「石ころ帽子装備者を見逃さない」感性ですw
まだまだ修行中ですけどね〜。
随時そうしていたらばさすがにしんどいかもしれませんが、
「要所要所」は見逃さない心持ちではありたいな。
Posted by まゆみ at 2011年04月27日 17:48
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朝井まかて 「実さえ花さえ」 を読み終えました
Excerpt: 江戸寛政期、新次とおりんの若夫婦が営む種苗屋「なずな屋」を舞台に 人間関係や、種苗仲間の問題など、 様々な問題に立ち向かいながらも、先を見据える。 ときどき不安にもなるけれども、仲睦まじい2人の物語。..
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Tracked: 2013-01-19 13:39
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